誘拐犯は私の彼氏!?
真実〜邦人〜
あれは私が5才のころ。
当時、もう次期当主として教育を受けていた私は、その日、華道の展覧会でこのホテルにいたのです。
―13年前
「邦人さま!
そろそろ広間にいかないと奥さまに叱られますよ!」
「……はい。」
幸せな空想に浸っていた僕を、ばあやの叫び声が現実に引き戻した。
本当なら、今日は習い事も休みで、友達と遊ぶつもりだったのに。
「永海は茶道だけではないということを見せつけるため」とか言って、無理矢理連れてこられて。