___死神だ」

 ーーねえ、私はいつ、ここから抜け出せる?

 その人は、さっきからぶんぶんと降り続けていた右手をぴたりと止めた。

 ーー私、こんな所もう飽きたよ。ずっと雨ばっかり、夜ばっかり。太陽が見たいな。

 私は、おねだりするときの様に、上目遣いでその人を見つめた。
 ちゃんとその姿を見てみると、実に不気味だ。身長がすごく高くて、首から上が無いなんて。笑ったり怒ったりするときは、どうするんだろう。泣くときは、何処から涙が溢れるんだろう。
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