___死神だ」
 その人は、右手をすっと下ろすと、背中を向けた。

 ーー……ついていったら、いいの?

 その人は、答えなかった。

 ーー……私、死ぬの? 死んじゃうの?

 ただ、今、ふと、なんとなく、「死」という単語が頭の中に浮かび上がった。最初から分かっていた訳では無い。まるで、忘れていたことを思い出した様に、私は「死」に気付いてしまった。
 私はもうすぐ、死ぬだろう。

 相変わらず、その人は答えない。
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