天使と悪魔~2つの顔を持つ男~
「……ぁあっ!」
ビクンッ!と大きくびくつく体。
制服を着たまま四つん這いになり、
埃っぽさが残る体育マットの上で千里は緒方と共に絶頂を迎えた。
そして一気に全身の力が抜け、千里はそのまま俯せの状態で倒れ込んだ。
「もう少し体力つけた方がいいんじゃねぇか?」
フッと鼻で笑ってスッキリした表情を浮かべるのは、教師緒方。
今回は校舎から離れにある体育倉庫。
今は殆ど使われる機会が無く、
誰にも見られず密会するには最低の場所らしい。
「……桜井」
着衣を整え、至福の一服をする緒方がポツリと呟く。
千里は重い体を何とか起こして制服を整えるとマットの上に座り込んだまま、はいと返事した。
「今度の日曜日ヒマか?」
広い緒方の背中を見つめる千里の目が思わずテンになる。
「……へ?」
「ヒマかって聞いてんだよ」
あまりにも突然な話に千里はキョトン顔。
だが緒方は千里の返答にイラッときたのか、
ほんの少し口調が荒くなった。
「あっ、日曜日は特に予定無いです!」
緒方の口ぶりに若干の恐怖を感じた千里は慌てて言った。
煙草を吸う後ろ姿はとても様になっている。
暫くその光景に酔いしれていると、緒方がポツリと呟いた。
「一緒に買い物付き合え」