天使と悪魔~2つの顔を持つ男~
「ふ~ん。何で?」
「何でって……!」
好きな人と出かける前日は誰だって眠れるはずがない。
緊張だの、心配だの、不安だので頭が逆に冴えてしまう。
「俺はグッスリ眠れたけど」
ハハハと笑う緒方に、そうですかと言って千里はハァとため息をついた。
それから1時間後、とある外資系巨大スーパーについた。
日曜日もあってか駐車場は立体はほぼ満車で屋上へ誘導された。
「先生、ここで何を買うんですか?」
「お前は俺に着いてくりゃいいんだよ」
車から降りた2人は早速店内へ。
エレベーターで1階まで降り、
大きなカートを引いてそのまま広大なスーパーへ入る。
「ちょっ、先生待って!」
サングラスを外した緒方は千里を気にかける様子などなくさっさと歩いてしまう。
ただでさえ人が溢れている店内で、
離れた緒方を捜すのは骨が折れる作業だ。
しかしあの容姿ならどこにいても目が引くと思うが……。
「おい!」
その瞬間、後ろからグイッと腕を引かれると、そこには緒方がいた。