天使と悪魔~2つの顔を持つ男~

放課後。





学校の校庭では部活に励む運動部の生徒達。




ひんやり冷たい秋風をものともせず、半袖で走り回っていた。




「……」


千里はとある教室の扉の前に立っていた。




騒がしい廊下には下校途中の生徒達が引っ切り無しにに行き交う。



緊張した面持ちのまま、
‘会議中’とかかれた札を気にかける様子もなく扉をゆっくり開けた。
















ガランとした広い会議室。


普段は教師達や生徒会などで使う場所であり、
何も属していない千里には無関係の部屋。



千里は部屋にはいるやいなや、手慣れた手つきで教室の鍵を閉める。




そして目線を部屋の中心部に向けると、
そこには1人の男が組んだ足を長い長方形の机に乗せ、開店椅子に座っていた。





「おせぇぞ」

「……すみません」






男の低くて太い声。


千里は顔を赤くしたまま俯いて話す。





室内では禁止されている煙草を悪びれた様子もなく吸い、
ワイシャツの第2ボタンを外した上から緩めたネクタイを締めている男。




前髪は目にかかるほど長く、

毛先は無造作に跳ねた髪型だ。






「何突っ立ってんだ、こっち来いよ」


男は切れ長の目で千里を見つめると、顎を使って自分の方へ向かわせる。
< 4 / 33 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop