塾帰りの12分
「よっ、聡美!」
待ち合わせたシネコンのロビーに行くと、オクは先に来て待ってくれていた。
「お待たせ」
「いや、時間ピッタリだし。
で、これだよね?」
オクは手にしたチケットを見せてくれた。
「あ、買っておいてくれたんだ。
お金、払うよ」
私が財布を出そうとすると、オクはそれを押しとどめた。
「いいって、いいって。
俺が誘ったんだし、今日は俺のおごり。
あっちでジュースとかポップコーンとかも買おうよ」
「ああ、うん」