塾帰りの12分
8.1日限定彼氏
◆北見孝太郎side
芦川との電話を切ってしばらくしたら、兄貴が部屋をノックしてきた。
「なに?」
ドアを開けると、やや気まずげな顔の兄貴が頬をかきながら言った。
「この間のこと、ちゃんと謝っておきたいと思ってさ……」
「ああ、いいよ、別に」
俺はそう言ったが、兄貴は部屋に入ってきて、床に腰を下ろした。
しかたなく俺もその横に座った。