塾帰りの12分
「すまなかった」
頭を下げる兄貴に俺は顔をしかめた。
「よせって。
俺だって全部承知の上で付き合ってたんだから」
「でも、俺が押し付けたようなもんだし」
顔を上げた兄貴はこれ以上ないほど情けない表情をしてる。
「あいつを拒否しなかったのは俺の意志だ。
兄貴に押し付けられたなんて一度だって考えたことないよ。
それに……
もう済んだことだ」
俺がそう言うと、兄貴は俺の表情を伺いながら聞いてきた。
「済んだ……のか?」