塾帰りの12分
両親の視線を感じながら、そっと相手を確かめる。
ええっ、先輩!?
液晶に表示されているのは、北見先輩の名前。
うそ!先輩から電話なんて、すごく嬉しい!
でも、顔にはその気持ちを出さないようにして。
「ちょっと電話してくる」
平静を装って小さくつぶやき、ケータイを持って席を立つと、母がうなずいてくれた。
早く出たい!
はやる気持ちを抑えきれず、父の横を通りながら通話ボタンを押した。
「もしもし」