蔓薔薇
急いで家へと戻って行く
アキラさんの背中を見つめて
私は思う。
 
彼もまた、セリナさんの事が
心配で居ても立ってもいられ
ないのだと。
  
ご飯を食べるイサオさんに
私は小さな声で聞いた。

「私は、その場に一緒に
 居てもいいんですか?」

「いいよ、一緒に居よう
 
 帰りは、俺がちゃんと
 家まで送って行くよ」

セリナさんに疑われる事
なんて、私たちの間には
何もない。

何も・・・

アキラさんの留守の部屋に
私とイサオさんの二人きり

セリナさんと連絡の取れた
アキラさんは、今彼女の事
を駅まで迎えに行っている。

もうすぐここに、彼女が現れる

私は、緊張していた。
< 128 / 361 >

この作品をシェア

pagetop