蔓薔薇

セリナさんのいつもの優しい
雰囲気は何処にもなく
イサオさんの隣に居る、私を
鋭くキツい瞳で見つめる。
　
その瞳は、殺意さえ感じる程
だった。

「どうして、貴女が
　此処にいるの？
　どうして
　イサの隣にいるの？
　どうして、ナツキでも
　無いくせに・・・

　やっと、ナツキからイサを
　取り戻せたのに
　どうして、貴女にイサを
　とられなくちゃいけないの」

私は、今日の彼女を見て感じた
事がある。
　
それは、二人が彼女を大切に
しているのには、何か
そうせざるをえない理由が
あるのでは？

「いい加減にしろ、セリ
　　
　あれは、定食屋の親父さんの
　誤解なんだ、ミオちゃんは
　俺とは付き合っていない」

「そんなの嘘よ、またナツキの
　時のように私に嘘をついて
　いるんでしょう？
　　
　二人して、また私を
　騙そうとしてる」