蔓薔薇
誰もいない教室で、イサオさん
は初めて彼女に口づけを交わし
抱き寄せた。
 
彼女は、今にも折れてしまい
そうな程に細く、そんな華奢な
彼女を抱きしめながら、自分が
守ってやると、そう心に誓った

私に話す時の、彼の照れた表情
を見て、私の胸はキュンとなり

愛しくてたまらなくなる・・・

ナツキさんを羨ましく想う。

「イサを縛っているのは
 ナツキではなく、このわたし
 ・・・・・・」

遠くで話す、セリナさん声が
聞こえたような気がした。

二人の交際をセリナさんは
どうしても許せなかった。
 
イサオさんが何度と話しても
ちゃんと聞いてはくれずに 
違う話にすり替える。

セリナさんを大切に想うイサオ
さんは、どうしても彼女に
分かってもらいたかった。
 
しかし、彼女の想いに気づき
ながら知らないフリを続けた
彼の罪はあまりにも大きかった
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