蔓薔薇
病院へ着き、病室へと急ぐと
そこには、ヨウジの父親で
医院長の姿があり、母に検査
に向けての説明をしていた。

成長した私を見つめて
彼は言う。

「ミオちゃん、久しぶりだね
  
 沢田さんには幾つかの検査を
 受けてもらう必要があるので
 今、説明していたところだよ
  
 検査をしてみない事には
 倒れた原因は分かりませんが
 意識はしっかりしているので
 大丈夫でしょう
  
 では、私はこれで後は担当医
 と看護師の指示に
 従ってください」

「ありがとうございました
 ・・・
 お姉ちゃん、何してたの?」

「カリン、いいのよ
 ミオこっちにいらっしゃい」
 
ベッドの傍に立つ私の手を強く
握りしめて母は小声で言う。
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