蔓薔薇
「ミオちゃん、ごめんね」

もう、その言葉は聞き飽きた
 
私は財布から、1万円を
母に渡す。
 
「今は給料日前で
 これしかないから
 これ、持って早く帰って」

早く、帰れ・・・

私は、また布団の中に潜る。
 
母がドアを閉めて出て行く
靴音が響く。
 
あの女は、男に縋ってしか
生きられない人。
 
何度、男を取っ替え
引っ替えした事か・・・

その度に、違う男が

私の父親面をする。
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