蔓薔薇
私は慌てて部屋へ戻り、今日
買ったばかりのイサオさんの
アクセサリーの入った袋を
手に取り、部屋の鍵をかけて
二人の元へ戻り乗車した。

眼鏡をかけたイサオさんは
バックミラー越しに言う。

「もう、忘れ物はないね」

私が頷くと、イサオさんの
車は動き出す。
 
その窓から見る私の部屋は
どんどん小さくなって行く。

「忘れ物って、何」

アキラさんは、わたしが
大切に持つ袋を見つめる。

「これは、今日買ったばかり
 の洋服です
  
 明日、バイト先に着ていこう
 と思っていたので・・・」

「そうだ、店頭で着ている
 洋服は毎月、買ってるの?」

「そうですね、いちを販売員は
 お店の広告塔なので、お洋服
 の新作が入れば、皆さん
 購入されてます・・・」
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