蔓薔薇
「・・・
 従業員割引で半額で買う事が
 できるので、私の場合は
 お店の洋服が好きだから
 毎月お給料は、洋服代に
 消えてしまいます」

「そうなんだ」

アキラさんは、私がヨウジの事
を思い出さないようにその後も
明るい話題を続けて聞かせて
くれた。

イサオさんは黙ったまま運転に
集中しているが、時に、アキラ
さんの話に耳を傾けて微笑んで
いる。
 
私の不安な気持ちは、どこかに
消えてなくなる・・・

車は、アキラさんの住む
マンションの前で停車した。
 
荷物を持つアキラさんと
私は車を降りる。

しかし、イサオさんは運転席に
座ったまま車から降りずに
窓だけを開けた。
 
アキラさんは、荷物を置いて
窓の傍へと近づく。
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