蔓薔薇
「・・・
 事実は君から伝えた方がいい
  
 アキラなら君の全てを
 受け入れて必ず、ミオちゃん
 を大切にしてくれるよ」

そう言い残して、クラクション
を一度鳴らしたイサオさんの車
はずっと遠くへ消えてしまった

私はアキラさんの隣に立ち
彼の歩幅に合わせて歩き
私の心も彼へと歩み寄る。

私は、もう後戻りはできない。

アキラさんは、私とヨウジの事
を何も聞かないまま、私の使う
部屋を片付けてくれた。
 
「アキラさん・・・
 彼は、昔の・・・」

私は、言葉を詰まらせた。

「ミオちゃん
 無理に話さなくていいよ」

彼は、優しく私に
微笑みかけてくれた。
 
深い、深い闇が

夜を支配する時…
 
私は身も心も

貴方だけのものになる。
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