蔓薔薇
でも私は、その言葉を飲み込み
ひと呼吸をつき取り乱す事を
避けた。
 
アキラとちゃんと向き合って
話す為に平常心を保った。

震える声で、私は彼に聞いた

「ユイから、何を聞いたの?」

やっとアキラは、私を見つめて
くれた。

彼の瞳のずっとずっと奥の方で
私を可哀相な眼差しで見つめる

可哀相・・・

いろんな意味を込めて。
 
きっと、私がヨウジを裏切り
違う男達に身を委ね、子供を
妊娠した

そうアキラは、聞いたに
違いない

馬鹿で可哀相な女・・・

アキラの目線が、そう言って
いるように感じた私は
何も言えなくなる・・・
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