蔓薔薇
それが返って私の気持ちを動揺
させ、疑いを持たせる。

「今日も少し
 帰りが遅くなるから・・・
 先に眠っていていいよ」

そう言い残し、靴を履き
歩みだし、彼は二人の住む家の
ドアを閉めた。
 
そして、彼女に会いに行く。

彼は優しくて

嘘が下手な人・・・

彼は遅くに帰宅して、ベッドに
眠る私の隣に横になる。

正確には、眠るふりをする
私の隣に・・・彼は眠る。

いつもの彼なら、背を向けて
眠る私を、必ず後ろから
抱きしめてくれる。

でも最近の彼は、私に背を
向けて眠る事が多くなった。

ほんの少しの違い、ズレが
私を不安にさせる・・・

もう・・・

耐えられない・・・
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