蔓薔薇
ベッドから起き上がり、寝室を
出た私は部屋の電気も点けない
まま、真っ暗なベランダに出て
天より降る雨に両手を翳す。 

「ミオ、起こしたね
 ごめん
 同僚と飲んで・・・」 

「アキラ・・・

 もう、いいよ
  
 嘘は・・・聞きたくない」 

彼は黙り込み

私から目を逸らす

「セリナさんは、元気
 ・・・順調?」

「ああ、彼女は元気にしている
 お腹の子供も順調だよ
  
 ・・・ミオ、ごめん
  
 君に黙って俺は、仕事帰りに
 セリの様子を見に行っていた
 事実を誤るよ
  
 本当にごめん・・・」  

私は、知らなかった・・・

長尾さんと別れた事に寄る不安
な気持ちからセリナさんは一度
お腹の子供を、流産しそうに
なった事を。
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