蔓薔薇
「・・・
 アキラの全てを私だけのもの
 にしたい、そう思う余りに
 大切な事が、どんどん
 みえなくなる
   
 アキラの本当の気持ちを
 知っているくせに、彼を失う
 事が怖い私は、彼の心を縛る
 ・・・

 私は、どんどん嫌な女に
 なっていく、彼の笑顔が
 一番好きなのに、もうアキラ
 は無邪気に笑ってくれない
 ・・・」

私の心の声を聞いたイサオさん
は壊れる程に、強く強く

私を抱きしめながら囁く。

「アキラじゃなく

 俺を愛して・・・」

イサオさんの言葉を受けて
私の心はざわめき出す。
 
胸の奥に秘めた想いが、口を
ついて出そうになる。
 
私は、その言葉を飲み込んだ
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