蔓薔薇
胸の奥底に秘めた
本当の私の想いが答える。

彼の想いに答えることが
できない・・・

それが、悲しい。

「ごめん・・・

 俺の言葉は忘れて」

イサオさんの私を抱く手が
震えている。

抱きしめる手を離す事を躊躇
(ためら)っている。

彼の私への想いがその手を
通して伝わってくる。
 
私は、彼の愛が欲しくて
堪らなくなる。

私はイサオさんから離れ、少し
距離をとり、彼の綺麗な瞳を
見つめて飲み込んだ言葉を話す

「私・・自分でも分からないの
 
 アキラの事をこんなにも
 好きなのに、イサオさんに
 嘘の恋人だと言われた時
 私の心はひどく傷ついた
  
 嘘の恋人なんて嫌だと・・・

 貴方の本当の恋人に
 なりたい・・・
   
 そう想う、私がいる・・・
 
 私もおかしいでしょう」
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