蔓薔薇
「アニキ
 お願いがあるんだ・・・
    
 セリと一緒になってやって
 ほしい、俺じゃ、やっぱり
 役不足なんだ
    
 今のセリにはアニキの助け
 が必要なんだよ
    
 セリも、その方が喜ぶはず
 だから・・・
    
 俺には守るべき人、ミオが
 いる」

アキラの言葉が、私の胸を
苦しめる。

俯(うつむ)いた私の瞳から
涙が零れた。

イサオさんはアキラの目を
真っ直ぐに見つめて、素直な
今の自分の気持ちを話す。

「俺には、セリを
 守ってやる事はできない」

そう断言するイサオさんに
やりきれない想いを込めて
アキラはイサオさんの胸倉を
掴み睨む。
   
「どうして・・・
 アニキはいつもそうなんだ」
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