蔓薔薇
私は着替えた後、タオルで髪を
拭きながらテーブルに置かれた
見覚えのあるカップに気が付く
 
それは、セリナさんの
コーヒーカップ。

「電話くれれば、迎えに
 行ったのに・・・

 雨は、もう止んだとばかり
 思ってたよ
 結構、降ってるんだな
   
 俺、手元しか見てないから」

彼は温かい飲み物を入れてくれ
彼女のカップを片付けながら話
す。

「ついさっきまで、セリが
 ここに来てたんだよ
 抱っこ紐って言うのかな
 あれに、こんな小さな
 赤ちゃんが入ってた」

手で赤ちゃんの大きさを
表現する彼は、心から
セリナさんの赤ちゃんの誕生
を喜んでいた。 
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