蔓薔薇
新しい洋服に触れ眺めていても
いつものように心躍る事はない

ため息をつきながら、時計を
気にする私に店長は言う。

「ミオ、どうしたの
 何か気になる事でもあるの」

「いえ、何も・・・」

「そうだ、正社員になって早速
 で悪いけど、明日残業頼める
 かしら?
 セールが近いから宜しくね」

「はい」

どうか、早く時が

経ちますように……

気持ちがここに無いまま仕事は
終わり、私は慌てて店を出ると
そこにはイサの姿がある。

「イサ」

私は、彼の腕を強く、強く掴む
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