蔓薔薇
いつもなら慌しいはずの朝の
時間が、今朝は静かに過ぎて
いく。

仕事へ向かう用意を全くしない
まま、食卓の椅子に、ぼーっと
座っている私を見かねて

イサは言う。

「美桜、仕事に遅れるよ」

「今日は、休む・・・」

「どこか悪いの?」

何も言わずにただ俯くだけの私
に彼は、少し口調を強めて話す
 
「美桜、どこも悪くないだろう
 それなのに、仕事を休むのは
 駄目だ
   
 昨日、息吹さんからも残業を
 頼まれたはず、お前が
 行かなきゃ、みんなが困る
   
 ほらっ、早く用意して俺が
 送って行ってやるから」

私は、左右に頭を強く振る。
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