蔓薔薇
イサは、セリナさんの元へと
近寄り、私に言い聞かせる時と
同じように彼女の瞳を見つめて
話す。

「セリ、よく聞くんだ」

顔を逸らし、その場から
逃げ出そうとする彼女の両手を
強く握り締め離さずに彼は言う

「お願いだ、聞いてほしい
 俺は、美桜を愛している

 彼女と将来、一緒になろうと
 思っている」

私は、イサの言葉に心が震えた
 
そう、それは、永久の愛を
意味している。

「もう、俺は決めたんだ
  
 セリと美桜の二人が泣いて
 いたら、俺は、美桜の元へ
 駆けつける
  
 あの日、俺はセリ・・・
 お前を選んだ

 ナツキの最期を看取って
 やる事ができなかった
 その事で、俺はお前を
 一度も恨んだことはない
  
 俺にとって、セリ
 お前は大切な人だから・・」
< 292 / 361 >

この作品をシェア

pagetop