蔓薔薇
「はじめまして、セリナの
 母です
   
 貴女は、イサ君の彼女
 ・・・かしら?」

「おばさん、そうだよ
 アニキの大切な子なんだ」

眠りにつく赤ちゃんを抱く
腕を左右に揺すりながら
彼女は話し出す。

申し訳なさそうに

私を見つめて・・・
  
「そう、ごめんなさいね・・・
 貴女の大切な人をあの子は
    
 セリナは昔から、イサ君が
 全てで、この子の父親と結婚
 をしてくれた時は、やっと
 イサ君への想いに決着を
 つけてくれたものだと
 安心していたのだけれど・・
    
 セリナは、イサ君に父親の
 面影をずっと見ているのよ」

「おじさんの・・・」

セリナさんは、父親の事が
大好きだった。
  
それなのに、彼女が8歳の時に
父親は愛人を作り、突然、蒸発
してしまう。
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