蔓薔薇
「大丈夫
 やっぱり送るよ
 
 行こう?」

知り合ったばかりの彼に
体を委ね、顔を上げる事なく
タクシー乗り場へと連れて
行ってもらう私。

そして、一緒に乗車する。

「肩に、もたれていいよ」

優しい彼の肩にもたれて
私は、瞳を閉じた。

そんな私の事を心配そうに
見つめる彼が、そこにいた。

その頃、私を捜しに来た彼
功(イサオ)の事が気になり
彼の後を追って来たユイは
辺りを見渡す。

そして、兄、陽次(ヨウジ)
の姿を偶然に見つける。

「お兄ちゃん・・・
 どうしてここに?」

「ユイ、ただいま」
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