蔓薔薇

彼女の言葉に、私の頭の中は
錯乱し、私の心は乱れた・・・

セリナさんは、腕に抱いていた
子供をベビーカーに乗せながら
話を進めた。
　　
「私・・・
　アキちゃんと結婚するの」

私は彼女の言葉を受け、頭で
物事を整理するよりも先に
言葉が出てしまっていた。

「待って、貴女はイサの事が
　好きなはず・・・
　だから、私はこの家を出た
　　　
　貴女に
　イサが必要だったから」

その時、イサとアキラもドア
を開け、出てくる。

「私は、確かにイサの愛が　
　欲しくて、彼の愛が手に
　入らないと知り、絶望し
　生きる意味が見出せなく
　なった
　　　
　そしてまた自分を傷つけた」

けれど、命を取り留めた後に
セリナさんが一番最初に思った
事、それは自分が仕出かして
しまった事への後悔。

「こんな小さな子の成長よりも
　報われない愛の為に私は命を　
　絶とうとした
　
　そんな弱い自分が私は嫌い
　・・・」