蔓薔薇
こんな私でも、また誰かを
好きになる事ができる。
 
ほんの少し

生きる意味を見つけた。 

私と二人の兄弟との出会い
の話を、彼女はとても
真剣に聞いている。
 
この住居件、工房のご主人は
眠っているにも関わらず

私たち三人は、かれこれ
約二時間程、ずっと
話をしている。
 
話下手な私から、彼女は
とても上手に話を聞き出す事
ができ、尊敬してしまう。
 
「そうなんだ、じゃあ二人とも
 ミオちゃんをお家まで送って
 あげた訳ね」

「はい、その節は本当に
 ありがとうございました」

アキラさんは、私の瞳から
目線を逸らさず、じっと
見つめて話す。
 
こんなに間近で、彼に
見つめられている。
 
私は、自分の両頬が火照るの
を感じた。
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