蔓薔薇
彼の言葉は、とても
説得力があった。
 
私も好きであんな不便な場所
に住んでる訳じゃない。
 
セキュリティーとか完備した
場所に住めるのなら
それに越した事は無い。
 
でも、しがないアルバイトの
私がそんな家賃を払える訳が
無かった。

「私はただ
 ミオちゃんを心配して…
  
 そうだ、だったら、イサが
 製作の合間に送り迎えして
 あげれば」

彼女は、イサオさんの言葉に
腹が立ったのか意味不明な
言葉を並べ出した。

「セリ、落ち着きなよ
  
 アニキだって製作に入れば
 動ける訳がないだろう
  
 セリが一番近くにいて
 知ってるくせに」

「イサはそんなだから
 彼女ができないのよ」

こうなったら、もう誰も
彼女を止められない。
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