蔓薔薇
私は、もうこれ以上
二人の事を見てはいけない
 
二人の話を聞いてはいけない
 
そう、思いつつも歩道橋の階段
に座り、二人の事から目が
離せないでいた。

私は、ここから一歩も動けない

「もう、アニキの事を
 想うのはやめろよ」
  
アキラさんの腕から擦り抜ける
彼女の腕を彼は掴み

握りしめて自分の方へと
もう一度、強く抱き寄せる。

「アキちゃん
 放して・・・お願い」

「好きでもない奴と結婚して
 セリは馬鹿だよ
  
 あいつと別れて

 俺の傍にいろよ」
 
彼女の事を抱きしめる
アキラさんの精一杯の行動を
見てしまった私は

その場所から足早に離れた。

見るんじゃなかった・・・

私はそう、後悔した。
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