蔓薔薇
「どうしてなの・・・
 
 ヨウちゃん・・・」
 
私はフラッシュバックの渦の中
に両手で顔を被う自分の姿を
見つけた。

私の体は震え

心が凍りついた瞬間。
 
彼は、破れたシャツを身に纏う
私の姿をじっと見つめて
悪魔のように微笑み言葉を吐く

「汚れたミオ
 かわいそうに・・・

 でも、安心しなよ
  
 俺がずっと
 傍にいてあげるから」

彼の手が私へと伸びる。 
 
「・・・やめて
 
 さわらないで・・・」
  
私に拒絶された彼の瞳から
涙が流れた。

「ごめん、母さん・・・
 俺のせいで兄さんが・・・」
 
彼は足を引きずり、心と体が
凍りついて動く事のできない私
に近寄り、そっと抱きしめた。
 
私は彼の腕の中、恐怖に震える
 
< 62 / 361 >

この作品をシェア

pagetop