蔓薔薇
彼女は、紅茶を注いだカップを
私の前に置き、少し微笑んだ後
に、私から目線を逸らし俯いた 
 
「ありがとうございます」

「ミオちゃん
 この間は、ごめんね
 びっくりしたでしょう?
  
 私とイサが、言い争うのは
 いつものことなの
  
 ああ言えばこう言うで
 お互いに子供の頃から全く
 成長してなくて・・・

 年下のアキちゃんが
 一番大人なのよ」  

イサオさんは、作業を中断して
眼鏡をはずし、手を洗っている

私は、店長から預かって来た
封筒を鞄から出した。

「あの、これは店長から
 預かってきた商品の代金です
  
 本来ならもっと以前に
 お渡しする予定でしたのに
 遅くなってしまい
 申し訳ございません」

「いやっ、構わないよ
  
 それより、白石さん風邪?」
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