蔓薔薇
「そんなある日
 彼の両親とユイが旅行に
 出かけたんです
  
 家には
 私と彼の二人だけ・・・
  
 私は料理を作り、その姿を
 彼は優しく見つめ
  
 そっと、後ろから
 包んでくれた」

私は、この幸せだけは絶対に
この手から逃がさないと

そう心に誓った。

「彼は、すぐに戻るからと
 家を出て行った・・・」

私はここまで話して、言葉を
詰まらせてしまう。
 
イサオさんは心配そうに
私を見守る、私は話を続けた
 
でも戻って来たのは彼
ヨウちゃんでは無く

顔も見た事のない、知らない
二人の男・・・
< 78 / 361 >

この作品をシェア

pagetop