姫の苦手はイケメン王子!?
私が、12歳。
新兄が18歳。
新兄が初めて彼女を連れてきた。
凄く優しくて、綺麗な人。
私はすぐ仲良くなって懐いた。
カッコイイ兄。
綺麗な彼女。
この人が自分の姉になるならいいな。って思ってた。
でも、間違ってた。
シスコンな兄は、私にばっかり構った。
彼女がいても、私優先。
それが、始まりだった。
彼女が家にきて。
その時は、3人ともいなかった。
でも、1人じゃ暇だったから話し相手になってって家に上げた。
玄関を閉めた途端。
ガンッ
「いっ!」
「目障りなのよ。あんた。」
背中を思いっきり蹴られた私は硬いフローリングの床に倒れた。
「いっつも新はあんたの話ばっかり。」
怖かった。
蹴られた背中が痛くて。
豹変した彼女に、言葉を発することさえ出来なかった。
「折角、カッコイイ彼氏できてさー。ラッキーと思ったのに、よりによってシスコン。私よりあんたとか有り得ない。」
殴られた。蹴られた。
カッコイイ彼氏…それは誰でもない大好きな兄のことで。
「あんたの兄がイケメンじゃなかったらこんな目に遭わなかったかもね。」
彼女はそれだけ言って出て行った。
新兄がカッコよくなかったら、殴られなくて済んだ?
新兄がシスコンじゃなかったら、蹴られなくて済んだ?
ただ、それだけが、頭の中に、響いていた。