姫の苦手はイケメン王子!?
1番最初に帰ってきたのは天兄。
私を見て、目を見開いて。
「どうした!?誰にやられた!?」
って、いつも冷静な天兄が慌ててた。
でも、声が出なくて。
身体が、動かせなくて。
天兄に支えられて、リビングのソファーに座った。
そして、毛布掛けられて…。
そこで、私の意識は途切れたけれど。
次に目を覚ましたときには、3人の兄の心配そうな顔が目の前にあった。
「大丈夫か?」
1番に声を掛けてくれたのは、やっぱり天兄で。
「痛いとこあるか?」
反抗期真っ只中っぽかった光流も心配そうな顔で聞いてくれた。
そして、
「輝羅…?」
その、声を聞いて、あの恐怖が、蘇って…
「嫌、嫌だ!近づかないで!関わらないで!」
気がついたら…拒絶していた。
大好きだったのに。
見るだけで、身体が震える。
「…兄貴。ちょっと、部屋戻ってくんね?」
天兄が真剣な声だ。
いつもより、低い声。
「あ、あぁ…。」
新兄が、階段を上がっていったのがわかった。
「輝羅、ゆっくりでいいから。話せよ。」
「ほら、これ飲んで…な。」
天兄が背中を摩ってくれて。
光流はココアを入れて持ってきてくれた。
ココアを飲んで、心を落ち着かせる。
「あの、ね…」
全てを話した。
兄2人は黙って聞いてくれていた。
真剣な顔つきで。
怒りを、抑えるような空気を纏って。