時計の針が止まるまで
はじまりの朝
「おい、起きろ」
閑静な朝の住宅街。
私を起こしたのは子供が泣き叫ぶ声でもなければ、小鳥のさえずりでもなく。
ましてやお母さんの雷でもなかった。
耳の奥に響く、低くて心地よい声。
「アホ春子、起きろ」
布団をはぎ取られ、朝の冷気が私を包み込む。
「起きろっつってんだろ!」
ベッドの上にいた私は、何者かによって蹴り起こされた。