starlight
キミの隣
----------*.葵.*----------
その日から、私は先生の元によく通うようになった。
先生は私のことを追い払わなかった。
特別みたいで、嬉しかった。
先生のことを少し知れた。
写真が好きなこと。
お酒も好きなこと。
現在彼女がいないこと。
「先生来て早々モテて大変ですね。」
先生が女子達を
追い払ったのを見計らって、
理科準備室へ潜り込む。
「からかうなよ。疲れてんだから。」
苦笑する先生。
よくこの表情を見る。
「......肩、揉みましょうか」
「えっ?」
いきなり口から出た言葉に、自分でも驚く。
先生もびっくりしている。
「あ...いや、冗談です」
焦って弁解しながら離れようとすると、
先生が私の腕を掴んだ。
ビク、と身体が小さく動いた。
「揉んでくれると...助かるんだけど。
すげー凝ってるんだ」
先生が途切れ途切れに言う。
心なしか顔が少しだけ赤く見える。
......気のせいか。
照れながら、先生の肩に手を置く。
温かい。
「こっ...凝ってますね」
声が裏返る。
「だろ?...篠宮、お前上手いな。」
先生の声も少し上ずっている、
気がした。
少しの間沈黙のまま揉み続け、
沈黙に耐えられなくなり手を離す。
「ありがとう。すげー楽になったよ。」
首を回しながら笑う先生。
つられて笑う。
「お前...手、冷たいな」
いきなり真剣な顔をして
私の手を見つめる先生。
「低体温なんで。」
恥ずかしくて恥ずかしくて......
適当な言い訳をして、すぐに帰った。