starlight





美奈は最初からそのつもりのように、

狭いプリ機の中で

カメラの前でモゾモゾしている晴香を

竜也の横に押し出す。

「うぉっ!?びっくりした、
 何だよ美奈」

よろける晴香を受け止め焦る竜也。

「ホラホラ3秒前って!」

勘付いた将太も笑いながら

竜太をなだめる。

困惑している竜太と

真っ赤になって固まっている晴香を除く

4人はニヤニヤしながら2人を見守る。

美奈の提案で別行動をした後、

待ち合わせ場所にはにかみながら

手を繋いで戻ってくる竜也と晴香。

みんな一斉に冷やかす。

晴香はものすごく幸せそうで、

見ているこっちまで嬉しくなった。

晴香と竜也のこともあって、

6人の話題は

恋愛方面へと進んでいった。

「美奈は今狙ってる男とかいんの?」

将太が笑いながら問いかける。

「当たり前でしょ~。
 あたしは常に誰かを狙ってるからね♪」

どこか自慢げに話す美奈に、将太は

「怖ぇ~」

と笑った。

「葵は?」

「へ?」

少し上の空になっていたので、

間抜けな声が出る。

「葵は好きな人とかいないの?
 あんまそういう話しないけど」

春樹がにこやかに話しかけてくる。

春樹の喋り方が好きだ、と

ふと思った。

綺麗な言葉遣い。

そういえば先生も言葉遣いが綺麗。

...って何で先生のこと考えてるのよ。

意味分かんない。

「いないよ~。今は友達といられれば
 楽しいから。」

私が笑って返すと、

将太はホッとしたような、

残念なような顔を見せた。



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