starlight





「悪い!待たせちゃったな。」

将太が顔の前で手を合わす。

どうやら謝るときの癖らしい。

「ううん...大丈夫。」

私の笑顔は完全に引きつっていただろう。

「帰りながらでいい?」

「うん」

「じゃあ、行こうか。」

将太はモテる。

今日も何人か将太目当ての女子が

観戦に来ていた。

でも、好きにはなれない。

先生と出逢ったから。

先生の愛を知ったから。



私の歩幅に合わせてゆっくり歩く将太。

さりげない優しさに胸が詰まる。

しばらく歩いたところで、

将太が沈黙を破った。

「俺さ。幼稚園の頃からサッカーやってて。
 いわゆるサッカーバカでさ。」

そう言って笑う将太の顔も、引きつっていた。

「ずーっとサッカーにしか興味無くてさ。
 勉強もあんまできないし、
 女心もよく分かんねぇけど」

「...」

「初めて、本気になれたコがいるんだ。」

「...」

「俺...」

将太が立ち止まった。

そして、私を見つめる。

真剣な表情だった。

「葵が好きだ。付き合ってください。」

そう言って頭を下げる将太。

どうしよう...。

何て断ればいいの...??

今まで何度か告白はされたことあったけど、

仲の良い友達にされたことはないし...

でも、うろたえてたら駄目だ。

しっかり気持ちを受け取らなきゃ。




先生が






教えてくれたこと。







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