starlight
----------*.圭吾.*----------
葵が突然、
俺に会いたいと言ってきた。
何かあったのか。
心配になった俺は、
友人との飲みを途中で抜けて、
車を走らせた。
待ち合わせたコンビニに着くと、
葵はすでに着いていた。
まだ秋とはいえ夜は冷える。
俺は急いで車に乗らせた。
「待たせてごめんな。寒かっただろ?」
葵の髪を撫でると、
いつもに増して冷たかった。
「ううん...大丈夫。」
元気が無い。
「それより、こんな夜遅くに外出して、
大丈夫なのか?」
「うん。うちの親は放任だから。
...成績さえとっておけば。」
「...そうか。」
少し車を走らせて、
人目につかない土手に停めた。
「それで...何かあったのか?」
できる限り、優しく聞いた。
すると彼女は、
ポロポロと涙を流し始める。
「ちょ...葵?」
俺は焦って、止まらない涙を
指で何度も拭った。
「先生...」
なおも泣き止まない葵。
俺は彼女を落ち着かせようと、
優しく抱き締めた。
冷たい身体。
まるで彼女の寂しさの象徴のようだ。
「俺が温めてやるから......」
囁くと、葵はか細い腕で
必死に俺に抱きついた。
頭を繰り返し撫でながら、
背中をとん、とん、と叩く。
「...落ち着いたら、話してくれるか?
いつまででも、待ってるから。」
俺の胸の中で小さく頷く葵。
愛しい。
しゃくり上げて泣いていた彼女は、
次第に落ち着いてきて、
ゆっくりと顔を上げた。