starlight
----------*.葵.*----------
準備室に行くと、
さっきの先生が早速女子に囲まれていた。
転勤早々モテモテで、先生も大変だなぁ。
先生を取り囲んでいる上級生と見られる女子が
怖かったけど、思い切って声をかけた。
先生は女子達を追い払い、ノートを受け取ってくれた。
「偉いな。」
将太にしたことをそう評価される。
私は何のためにしたんだろう。
将太のため?
自分のため?
どちらでもあり、どちらでもない気がする。
そう思うと何だか切なくなり、顔を上げた。
目が合った。
時が止まる。
講堂からは見られなかった、切れ長の瞳。
冷たい印象を覚える。
だけど......目が離せない。
しばらく見つめ合ったあと、
「あ...悪い。A組は遅かったけど、
何かあったのか?」
遅かったこと...やっぱり怒ってるのかな。
なかなかノートが集まらなかったんだけどなぁ。
「なかなかノートが集まらなくて。
すみません。」
怖くて頭を下げる。
「あ、いや...。怒ってる訳じゃないから。
何かトラブルでもあったのかと思って」
慌てて頭を上げさせる先生。
肩に触れた手から、印象とは全く違った
温かさが伝わった。