starlight
「あんま無茶すんなよ。」
そう優しく声をかけて、矢崎春樹は
葵の頭をそっと撫でた。
葵は矢崎を見上げると、
優しく微笑んだ。
触んな!!
嫉妬ともどかしさと悔しさと怒りで、
また泣きそうになる。
「では授業を始める。
席に着きなさい」
俺は卑怯な奴だと思う。
俺は愚かな奴だと思う。
自分では守れなかったくせに、
他の男と関わっているのを見ただけで
嫉妬で狂いそうになる。
でもこれしか方法はないから。
教師という立場を利用して、
着席の指示をするということでしか、
葵と他の男を引き剥がせなかったから。
生徒達が席に着いて、
ホッと胸を撫で下ろす。
ふと、視線を感じる。
見ると、矢崎がこちらを睨んでいた。
冷たくて静かな、でも怒りを含んだ目で。
あぁ、そういうことか。
俺は勝手に納得すると、
ばつが悪くて情けなく目を逸らした。