starlight
愛しくて
俺は、葵を呼び出した。
あの、理科準備室に。
「......何ですか」
葵がうつむき加減に入室する。
そんな葵を椅子に座るよう促す。
何だかこの状況、前もあった気がする。
今思えば、
俺らってかなり傷つけ合ってきたよな。
そんなことを思いながら、
葵を見つめていると、
「用が無いなら戻ります...」
と葵が立ち上がった。
きっとこの時を逃したら、
葵とは終わりだって
直感で感じたんだ。
「待ってくれよ...」
強く掴んだ腕とは裏腹に、
何とも情けない、弱々しい声が出た。
「離して......」
声を震わせて俺を見上げた葵は、
今にも泣き出しそうな顔をしていた。
今すぐ強く抱き締めたい衝動に駆られる。
でも...
俺が葵を呼び出したのは、
そんなことをするためじゃない。