starlight



綺麗な子だな。

落ち着いているし、

大学生と言われても納得できる。

ただ......どこか寂しそうな雰囲気。

何か悩みでもあるのか。

「お前...」

「え?」

「何か...悩んでる?」

初対面でいきなり何だという感じだろうな。

口に出した後少し後悔する。

「そう...見えますか?」

「あぁ。悪い、余計なお世話だな。」

俺が苦笑うと、生徒も寂しそうな瞳のまま

小さく笑った。

「そんなことないです。先生こそ...」

「...え?」

「疲れてません?大丈夫ですか?」

図星。

あまり気持ちを表に出さないタイプなので、

余計に驚いた。

「先生ってのは疲れるんだよ。」

冗談めいて言うと、生徒はまた小さく笑った。

「また...何かあったら手伝ってくれるか」

何故こんな言葉が出たのか。

言った後自分で驚いた。

「いいですよ。」

生徒は微笑んだ。

「俺は......桐谷圭吾。」

「この間紹介されてたじゃないですか。
 知ってますよ」

生徒は笑う。

調子狂う。

「お前は?」

「私は......」

微笑んだまま、

寂しい目をしたまま、

生徒は綺麗な声で言った。

「篠宮...葵です」






< 9 / 87 >

この作品をシェア

pagetop