SWEET&HOT~甘いのと辛いのと~
「…わかったよ。ちゃんと恵子って呼ぶよ」



恵子と呼ばれた少女は柔らかく微笑み、正面を向くと、また移動証明書をジーッと見つめる。



そんな恵子に対して、皐月はぐちぐち言っていた。



「何よ…。ただでさえ学級委員長なんだから、別に委員長って呼んでも良くない?皆からも委員長って呼ばれてるみたいだしー?私が呼ぶと気色悪いとか…それ、絶対いじめだよねー?あーあ、先生にチクっちゃおっかなー?それとも生徒会にチクっちゃうー?確かいじめやってる奴は天誅をくだすって言ってたよねー?」



そんなめちゃくちゃなこと言われても恵子は微動だにしない。



振り向きもしない。



「ご自由にどうぞ。まぁ、皐月が生徒会に何を言おうとも、私が天誅をくだされることはございませんけど」



皐月はまた拗ねたように頬をプクッと膨らませる。



「…ってゆーか、何見てんの?」



恵子の手から移動証明書をバッと取る。



「あっ!」



すぐさま振り向き、怒鳴ろうと…いや怒ろうとした時だ。
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