SWEET&HOT~甘いのと辛いのと~
この光景を見て、恵子以外のクラスメートは特になんとも思わない。



なぜなら、それが皐月のいつもの光景だからだ。



だが、恵子は…恵子だけは、毎回げんなりとさせられていた。



“変人美人”という言葉は皐月にピッタリと当てはまりますわね…。



そう思いながら、自分の席に向かう。



穏やかな表情の若いシスターが教室に入ってきたのは、恵子が自分の席に座った数秒後だった。



気づけば、皆もうすでに着席している。



シスターが教室に入ってくる前に席に着くことは、アメスト学園の生徒にとっては原則なのだ。



シスターが教壇の中央に立った時、恵子が静かに声を出した。



「シスター、おはようございます」



それにつられるかのように、皆も声を揃えて挨拶する。



「はい、皆さんおはようございます。今日は朝の聖書黙読の前に、皆さんももうご存知かと思いますが、このクラスの一員となる方を紹介しますね。…さあ、入ってくださいな」



シスターがそう言うと、教室のドアがカラッと静かに開いた。



中に入ってきたのは、髪を胸まで垂らしていて、猫目が特徴的な少女だった。



第一印象はまさしく性格がキツそうな子。



少女はそのまま教卓を上がり、シスターの横に並ぶ。
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